2022年度 日本味と匂学会 第56回大会

The 56th Annual Meeting of the Japanese Association for the Study of Taste and Smell

日時:2022年 8月22日(月)〜24日(水)

場所:仙台国際センター
〒980-0856 宮城県仙台市青葉区青葉山無番地

日本味と匂学会第56回大会 開催報告

 2022年度の日本味と匂学会大会は無事終了いたしました。特に大きなトラブルもなく、成功裡に終了したと自負しております。コロナ感染第7波の真っ只中でありましたが、361人の方々に参加(うち70名程度がオンライン参加)いただきました。大会では3題の受賞講演、29題のシンポジウム演題、115題のポスター発表(いずれもサテライト分を含む)があり、予定時間を超える議論も見受けられました。偏に先生方のご協力の賜物だと感謝しております。本当にありがとうございました。

 なお、本大会の運営は大会委員の先生方と東北大学大学院文学研究科心理学研究室の大学院生の方々のご尽力によります。また、魅力的なご講演やご発表はすべて先生方の日常のご努力に基づくものです。本大会に間違いや失敗があったとすれば、それはすべて坂井の責任です。忌憚のないご意見をお聞かせください。

 本大会は東北大学を中心とするメンバーでお世話いたしました。仙台での開催は1985年の第19回味と匂のシンポジウム(当番世話人:東北大学農学部食糧化学科栄養化学 木村修一教授、東北大学教養部生物 島田一郎教授、三好耳鼻咽喉科病院 三好 彰副院長)、2013年の第47回大会(大会長:東北大学大学院農学研究科 駒井三千夫教授)に続き、3回目となります。他学会との日程調整の関係上、8月半ばの暑い最中の開催となりました。異常気象や感染症、戦争など、これまでにない災害の中、多くの方にご参集いただき、本当にありがとうございました。

 個人的な思い出となりますが、私が初めて学会で発表したのが第26回味と匂のシンポジウムでした。教科書でよく知っている著名な先生方のご尊顔を拝見することだけでもお腹一杯でしたが、その時の私の味覚生理学系の発表に対して、化学や心理学、さらには嗅覚を専門とされる先生方から細かくも愛情のあるコメントや質疑をいただいたことに感動しました。その後、いくつもの学会に行きましたが、広い視野からの丁寧な議論をいただける場として、味と匂のシンポジウムは特別な印象に残ってきました。この私の感動を元に、今回の大会では味覚と嗅覚を明確に区別しないシンポジウムの形式とさせていただきました。私の勝手なわがままに応えて、非常に興味深いシンポジウムを構成いただいたオーガナイザーの先生方には本当に感謝しております。

 また、100題を超えるポスター発表のお申し込みをいただいたことにも感謝いたします。コロナ感染拡大が止まない現状ですが、私は対面での質疑応答という条件での開催にも拘りました。多くの学会で、ポスターに代わる短時間のプレゼンやPDF形式での貼り付けなど、個人的には効果的とは思えないような運用はしたくないと思っていました。しかし、ポスターでの質疑は必ず密かつ大声での議論になります。しかしながら、本大会では、ポスターで発表される方及びポスターをご覧になる方のご協力の賜物で、無事に終了できました。

 今大会ではロシアのパブロフ研究所のZolotarev先生を招待する予定で進めておりました。しかしながら、昨今の世界状況に対する日本政府の方針や社会情勢から、叶いませんでした。私は戦争に反対です。しかしそれと同じくらい偏見や差別についても強く反対したいと思っています。今大会で後悔する可能性があるとすれば、Zolotarev先生にご登壇いただけなかったことだけだと思っています。

 Zolotarev先生の特別講演の代わりに、文化人類学や社会学、心理学の方面から人の食行動を理解する特別シンポジウムを開催しました。この特別シンポジウムではタイのチュラロンコン大学から多くの先生方に参加していただくことができました。またサテライトシンポジウムや特別枠のポスターでもチュラロンコン大学の方々の参加をいただきました。これらは東北大学文学部100周年記念行事の一環として開催され、東北大学文学部・文学研究科の方々にも多くご参加いただきました。

 本大会の運営には駒井三千夫名誉大会長をはじめとする大会委員、学会運営委員、協賛企業様、広告・出展企業様など多くの方々の協力を得ました。また、学会運営に際して株式会社JTB仙台支店の鎌田様、戸張様、谷地田様にお世話いただきました。講演の投影やzoom配信には有限会社メディアプロ東北様、HPの管理には株式会社office PLAN B様にそれぞれお世話いただきました。皆様本当にありがとうございました。

 今大会が若手の方々の今後の研究活動や人生に何かを印象付けることができれば本望です。

日本味と匂学会第56回大会
大会長 坂井 信之